アカデミックレストランレポート: 2008年12月

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2008年12月

アカデミックレストラン Vol.27 at ル・ヴェルデュリエ

アカデミックレストランレポート

開催日時:平成20年12月9日
場所  :Le Verdurier(ル・ヴェルデュリエ)
テーマ :~京野菜deクリスマス~
講師  :シニアベジタブル&フルーツマイスター 武田由季さん

                                                                                        以前よりいつか参加したいと思っていたアカデミックレストラン、この度やっとチャンスが巡ってきました。
今回の開催場所は大田区鵜の木にあるフランス料理の「Le Verdurier」。しかも12月ということでクリスマスにちなみテーマはずばり~京野菜deクリスマス~。フレンチで京野菜?京野菜でクリスマス?一体どんなお料理が出てくるのだろう?期待でワクワクしながら当日を迎えました。
天気はあいにくの雨でしたが、静かな住宅街を歩き階段を上がって重厚な木のドアを開けるとそこには白を基調とした明るい色の室内に温かな雰囲気が広がっていました。にこやかなスタッフの方々に案内されて席に着き、全員の到着を待ちました。
時間になり、講師を務められる武田由季さんの挨拶から始まりました。そして小林浩一オーナーシェフの登場です。本日一品目「京人参のババロアとウニのコンソメジュレ」の料理デモンストレーションを行ってくださいました。12_2
 京人参はへこみなどは無視してできるだけ皮を薄く剥くことがポイントで、それは皮に近い部分が最も色が濃いため厚く剥いてしまうと折角の色が料理に活かせないからです。また中心部は水分が多く料理の味を薄めてしまうので使用しないとのこと、この部分はスタッフの賄いへ回るのだそうです。香りを活かしたいのか、味を活かしたいのか自分がどのように仕上げたいかで料理法を選ぶことも大切と仰っていました。シェフのテンポよい関西弁、時折面白いことも仰ったり、お人柄もうかがえました。3
武田さんからは京野菜についてのレクチャー、そして本日使用される京野菜の紹介です。九条葱に海老芋そして大きな聖護院かぶら、このあとどんな形で出てくるのか楽しみです。また~京野菜deクリスマス~がテーマですから赤、白、緑のクリスマスのシンボルカラーの料理が登場しますとのことで、これにもまた期待が高まります。

◇アミューズ4
乾杯はシェフの音頭で。「ルネッサ~ンス!」
ほどよい塩気のチーズ味マドレーヌ、いくらでも食べられそう。

◆京人参のババロアとウニのコンソメジュレ5
 クリスマスカラー「赤」の料理として京人参のババロアがウニとコンソメジュレとともに盛り付けられ運ばれてきました。色味は朱色の同系色で一見地味な感じを受けたのですがひと口食べてみてその舌触りのなめらかさと京人参の濃い味、甘味に感動です。たっぷりと乗っているウニとともに口に運ぶとウニの塩気が絶妙なマッチングでこれまた最高です。ジュレの冷たくてさっぱりした中に感じる深い旨みも交えたハーモニーだとお隣の方々と大盛り上がりです。ちなみに「ウニ&人参」はシェフのひらめきによる組み合わせとのこと。

◆ズワイガニといろいろ野菜のかぶら蒸し、トリュフ風味6
 クリスマスカラー「白」は卵のような形の器で登場です。蓋を開けるとなんともいえない良い香りが立ちのぼります。それもそのはず、かぶらの下に隠れていたのは本場フランス産のトリュフ。風味どころかこんなにっ、というくらいの量に驚きです。他にも銀杏、ゆり根、木くらげがゴロゴロと入っています。似ているようで実はバラバラの食材、これらのまとめ役となっているのがズワイガニですとのシェフの説明を受け、なるほどーと皆で感心しきりでした。

◆九条葱のポタージュ(スキヤキポタージュ)7
 クリスマスカラー「緑」はポタージュです。九条葱は葉ネギの代表品種で緑色の部分が多く甘味が強いのが特徴です。この九条葱と玉葱をじっくりと炒めてさらに甘味を引き出し、濃度を出すためにジャガイモも加えられているそうです。まずは緑色のところだけで味わってみてくださいと仰るのでそうしてみると甘くて濃厚な葱の味が口いっぱいに広がります。そして次に真ん中のお肉と一緒に味わうと・・・口の中でスキヤキが完成する、というニクい演出のポタージュなのです。茶色のソースは肉を焼いたときの肉汁とコンソメを合わせたものでこれも味のアクセントになっています。小さくカットされていて一瞬クルトンかと思ってしまったこのお肉、実は普段はメイン料理に使用される丹波牛だそうで、どおりでジューシーで柔らかいはず。なんと贅沢な、と思いつつスプーンを運ぶ手は止まりません。

◆海老芋と帆立貝、車海老のムースのブッシュ・ド・ノエル仕立て8
 すでにお腹は苦しくなりつつあったのですがメイン料理の登場で俄然、気分は盛り上がります。ケーキのブッシュ・ド・ノエルは定番ですがメインの料理でこの名前が出てくるのは意外でした。ソーセージにも見えるこちら、外側は帆立貝と車海老のムース、中身は炊いた海老芋でラップに包んで調理したものです。ソースは車海老のエキスにオレンジジュースが加えられているとのことで濃厚ですがしつこくはありません。ムースの部分に大葉が入っていることでもさっぱり感があり、いわゆるフランス料理のメインにある重さというのがないのです。付け合わせのトランペット茸は肉厚で味は干し椎茸のよう、牛蒡の歯応え、手前のナッツ&ドライフルーツも歯応えに加えナンプラーとカレー粉でのちょっと珍しい味付けが海老芋のねっとりとした食感、淡白な味に対して本当に良いアクセントになっていて食が進みました。

◆ホワイトチョコとスダチのムース ロゼシャンパンと赤いフルーツのアクセント1_22_3
 思わず「わぁー」と声を上げてしまう可愛らしいデザートが目の前に運ばれてきました。表面の渦巻き模様が目を引きます。とても手が込んでいるのがわかります。全体図を皆で撮影後、カットされて今度はローズヒップ&ヨーグルトのシャーベットとともに再登場です。最高の口解けの瞬間が計算されて出てきているので舌の上に乗せた途端にふわっと消えてなくなります。甘酸っぱさとさっぱりとした後味が印象に残りました。

◇コーヒー
3_2 おいしいコーヒーをいただきながらの談笑です。野菜の絵が描かれたカップ。こんなところにも反応し喜び合えるのが野菜ソムリエ同士ならでは。

小林シェフが「コース料理の醍醐味はオーケストラの音楽と同じ。単品では味わうことのできない、前菜からデザートまでの全体としての味わい、まとまりを楽しめること。」と仰ったことがとても心に残りました。前菜から始まって食事が進むにつれて香りもアップしていくようなメニューの組み立てでないと料理同士の良さを活かせなかったり、コースの途中で飽きてしまったりということになるのだそうです。また、コンソメにどれだけ手間とお金をかけているかでそのお店のスタンスのようなものがわかってしまうとも仰っていました。ル・ヴェルデュリエはもちろん、野菜本来の味を活かすパンチの効いたシェフご自慢のコンソメです。
 京野菜とフレンチ、コースを食べ終えてもお腹に重さを感じない、むしろ体に優しい感じの素晴らしいコラボレーションでした。それぞれの京野菜の味が本当に濃く感じられ、素材の味を活かすということはこういうことなのだと再認識しました。4_2
そして今日は一足早いクリスマスということでプレゼント抽選会も行われました。協会のカレンダーや書籍の他、武田さんお手製のオーナメントクッキー、バスハーブが賞品です。とても嬉しいことに私はなんとバスハーブをいただいてしまいました。武田さんのメッセージ付きで優しい心遣いが感じられ温かい気持ちになりました。
 帰りはさらに雨が強くなっていましたがお腹も心も満たされたあとの幸せ感いっぱいで家路に着きました。
 
 ル・ヴェルデュリエの小林シェフ、スタッフの皆様、武田さん、協会のスタッフの皆様、楽しい時間をありがとうございました。
 

ジュニアベジタブル&フルーツマイスター 伊沢桂子

アカデミックレストラン Vol.26 at AW kitchen

■日時:2008年11月24日(月)12:00~15:00
■会場:AW kitchen 東山本店
■テーマ:静岡県の特産物 ~赤の食材~
■講師:ベジタブル&フルーツマイスター 西村有加さん

本格的な冬の到来を前に、“赤”をテーマにした、「~美味しく食べる贅沢な空間~アカデミックレストラン」が開催されました。場所は、住宅街にたたずむ素敵なレストラン「AW kitchen 東山本店」。ツンと鼻をつく冷たい空気の昼下がり、講師の西村先生とオーナーシェフの渡邉明氏が、温かい笑顔で迎えてくれました。各テーブルにはサンシュのような実があしらわれ、さっそく赤を演出。この日参加する私たちも皆それぞれ“赤”を身につけて集まりました。

講師の西村先生のあいさつでスタート。本日のテーマと食材についての説明がありました。赤という切り口から野菜に止まらず、静岡県を誇る様々な食材が集結しました。
食材に強いこだわりを持つ渡邉氏は、普段から直接畑へ行き食材を選ぶといいます。農家の方との会話が、レシピのヒントになるそうです。
今日は、静岡の食材と渡邉シェフのコラボを満喫できる、実に贅沢な時間といえそうです。

◆イチゴの赤(メニュー1:イチゴのシャンパン)1
ウェルカムドリンクは、ほんのりピンク色したイチゴのシャンパン。
イチゴは静岡産の「紅ほっぺ」を使用。14年前に品種登録された、大人味のイチゴです。と、西村先生。イチゴの酸味を感じられる、すっきりした味わいでした。

◆ビーツの赤(メニュー2:ビーツの真っ赤なスープ)2
トマト3種を食べ比べた後は、真っ赤なスープが出てきました。
赤の正体はビーツ。その形からカブかな?と思いきや、ホウレンソウの仲間で、アカザ科のサトウダイコンの変種です。西村先生によると、ビーツには胃腸を温めて消化を促進する効果が期待できるということでした。

◆トラウト、キンメダイ、次郎柿の赤
(メニュー3:富士トラウトと金目鯛のテリーヌ、次郎柿のビネグレット)3
湧水の中で2~3年育つという富士トラウト。金目鯛といっしょにまとめている透明なゼリーはトマトから抽出したといいます。キラキラとした、とっても美しいテリーヌに仕上がっていました。周りを囲んでいるのは、次郎柿でつくったビネグレットソース。柿のシャリっとした食感と酸味のあるソースが抜群でした。

◆桜エビの赤(メニュー4:桜エビとプチべールのからすみのスパゲッティーニ)4
こちらのお店はPASTA HOUSEという名の通り、生パスタが気。今日はトマトを練りこんだ赤い生パスタに、静岡産の桜エビ、色鮮やかなプチべールのが一緒になっていました。少し焦がした桜エビがとても香ばしくからすみと合っていました。プチべールは結球しない芽キャベツですが、芽キャベツの開発で失敗して偶然できたものという裏話を聞かせていただきました。食べたらおいしかったので商品となったそうです。

◆トレビスの赤(メニュー5:浜名湖の浅利とトレビスのリゾット) 5
赤ワインで炊いた赤いリゾットにトレビスと黒浅利。白ワインの4倍の量を使うそうです。トレビスはイタリア原産で、チコリの一種。黒浅利はとても大きく、プリッとした美味しい味わいでした。

◆レッドスパイスの赤(メニュー6:静岡産銘柄豚の炭火焼き、レッドスパイスソース)6
「静岡認定の牧場で育った豚肉は味わいが逃げにくんです」と、渡邉シェフ。タイ風カレーのようなスパイシーなソースが、歯ごたえのあるお肉とマッチしていました。この時期のトマトは若干酸味があるので、そういうときはレモンを少し控えたりと、常に調理に工夫をしているそうです。

◆アメーラトマトの赤(メニュー7:アメーラトマトのタルト)7
このタルトは、ふたを開けると中にくし切りにしたアメーラトマトが入っていました。添えられていたアイスはポルチーニ味。
アメーラトマトは、長い根を切ってヤシの実のポットで育てられているとのこと。トマトは水を控えて生きる力を引き出すことで甘くなるといいます。現場を見てきた西村先生によると、アメーラトマトも同様で、土に白いシートを敷き、水分が逃げないように栽培されていたそうです。

最後に「葉果茶」というハーブティーが出てきました。ローズヒップをベースにトマト、リンゴ、オレンジ、杏などが入った甘酸っぱいお味でした。

場を和ませたり、参加者をうなずかせたりと、西村先生のお話しはとても素晴らしい内容でした。また、新鮮な静岡産の食材をこよなく愛する渡邉シェフ。その腕前は期待以上でした。今回は、静岡の食材について知る、いい機会でもあったと思います。貴重な体験をありがとうございました。

牛原 琴愛(ベジタブル&フルーツマイスター)

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